今回は、建築をトータルにデザイン、つまり家具・プロダクト・インテリア・建築・都市という領域を横断してデザインに取り組んだ「近代建築の巨匠7名」を紹介します。

○参考図書
世界で一番美しい建築デザインの教科書 7人の巨匠に学ぶインテリア・家具・建築の基本 建築 [ 鈴木敏彦 ]
フランク・ロイド・ライト
Frank Lloyd Wright

フランクロイドライトとは
○国籍
アメリカ合衆国
○生誕
1867年、ウィスコンシン州リッチランドセンター
○死没
1959年、アリゾナ州フェニックス
○概要
フランクロイドライトは、アドラーサリヴァン事務所を経て、1893年に独立して事務所を構えました。
ライトが初期の住宅設計に確立した、プレイリースタイル(草原方式)とは、部屋と部屋を完全に区切らず、緩やかにつなげる建築スタイルです。
ライトの代表作ロビー邸もその一つであり、水平方向を強調した、一室で空間を構成しています。
プレイリースタイルは、シカゴの郊外から、ヨーロッパの各都市まで広がり、これからご紹介する建築家にも大きく影響を与えることになりました。
代表的な建築
ロビー邸(1906)

落水荘(1935)

グッゲンハイム美術館(1959)

タリアセン(1914)

自由学園明日館(1926)

ジェイコブス邸(1936)

スーザン・ローレンス・ダナ邸(1902)
CEロバーツのための4棟集合住宅(1903)
サントップ・ホームズ邸(1931)
ローレン・ポープ邸(1939)
など…
代表的な家具・プロダクト
ロビーチェア(1908年)
タリアセン1(1925年)
タリアセン3(1925年)
など…
ミース・ファン・デル・ローエ
Mies van der Rohe

ミース・ファン・デル・ローエとは
○国籍
ドイツ・アメリカ合衆国
○生誕
1889年、ドイツ、アーヘン
○死没
1969年、アメリカ合衆国、シカゴ
○概要
ミースは、建築家ペーター・ベーレンスの事務所にて建築を学び、1912年に独立し、事務所を構えました。
このベーレンスの事務所には、同時期に、ル・コルビュジエも在籍していました。
1927年に「シュツットガルト住宅展」にドイツ工作連盟会長として参画し、1929年にはバルセロナパビリオンのため、バルセロナチェアをデザインしました。
1930年からバウハウスの第3代校長を勤め、1938年からイリノイ工科大学建築学科の教授を務めました。
代表的な建築
ヴォイセンホーフ・ジードルンク(1927)

バルセロナ・パビリオン(1929)

トゥーゲンハット邸(1930)

ファンズワース邸(1951)

レイクショアドライブ・アパートメント(1951)

ベルリン国立美術館・新ギャラリー(1968)

クロウス・アパートメント(1930)
など…
代表的な家具・プロダクト
バルセロナ・チェア(1929)
バルセロナ・テーブル(1929)
アジャスタブル・シェーズロング(1930)
コーヒー・テーブル(1930)
トゥーゲンハット・チェア(1930)
シーリングライト(1930)
ソファベッド(1930)
など…
ル・コルビュジエ
Le Corbusier

ル・コルビュジエとは
○国籍
スイス・フランス
○生誕
1887年、スイス、ラ・ショー・ド・フォン
○死没
1965年、フランス、ロクブリュヌ・カップ・マルタン
○概要
コルビュジエは、パリでオーギュスト・ペレ、ドイツでペーター・ベーレンスの事務所で建築の実務を学びました。
1922年、同じくペレの事務所で働いていた、ピエール・ジャンヌレと事務所を設立しました。
1920年、「シェーズ・ロング」をはじめとする、スチールパイプの機能的家具を発表、1929年サロン・ドートンヌで「生活調度品」展を企画しました。
1931年、「サヴォア邸」を竣工し、コルビュジエが主張する「近代建築の五原則」を実現しました。
代表的な建築
小さな家(1925)

ロンシャンの礼拝堂(1955)

サヴォア邸(1931)

ル・コルビュジエ・センター(1966)

国立西洋美術館(1959)

ガルシュの家(1927)
シトロエン邸(1927)
イムーブル・ヴィラ(1925)
ラ・ロッシュ・ジャンヌレ邸(1925)
マルセイユのユニテ・ダビタシオン(1952)
カップマルタンの休暇小屋(1952)
など…
代表的な家具・プロダクト
LC1スリングチェア(1929)
LC2ソファ(1928)
LC4シェーズロング(1928)
LC6ダイニングテーブル(1929)
LC7スウィベルチェア(1929)
カジエ・スタンダール(1925)
など…
ヘリット・トーマス・リートフェルト
Gerrit Thomas Rietveld

ヘリット・トーマス・リートフェルトとは
○国籍
オランダ
○生誕
1888年、オランダ、ユトレヒト
○死没
1964年、オランダ、ユトレヒト
○概要
リートフェルトは、1917年、家具作家として独立し、家具工房を設立しました。
1919年、建築家のテオ・ファン・ドースブルフに出会い、「デ・スティル」同人になります。(「デ・スティル」とは、ドースブルフが1917年に創刊した雑誌と運動グループの名称。)
この出会いによって、リートフェルトはは変化し、1923年レッド&ブルーチェア、1924年にシュレーダー邸を竣工しました。
それにより、1925年に建築家として独立し、設計事務所を構えました。
代表的な建築
シュレーダー邸(1924)

ゴッホ美術館(1973)

エラスムスラーン低層集合住宅(1931)
など…
代表的な家具・プロダクト
レッド&ブルー・チェア(1923)
ジグザグチェア(1934)
吊りランプ(1920)
ベルリン・チェア(1923)
ミリタリー・チェア(1923)
ミリタリー・テーブル(1923)
など…
アルヴァ・アールト
Alvar Aalto

アルヴァ・アールトとは
○国籍
フィンランド
○生誕
1898年、フィンランド、クオルタネ
○死没
1976年、フィンランド、ヘルシンキ
○概要
アールトは、ヘルシンキ工科大学で建築を学んだ後、1923年に建築設計事務所を設立しました。
翌年に、パイミオのサナトリウムのコンペで1等を獲得したのをキッカケに、地元の木材用いた家具「アルテック41」を開発しました。
アールトは、インテリアや家具をに対する思いが強く、1935年に自身の家具や照明を製作し販売するアルテック社を設立しました。
代表的な建築
パイミオのサナトリウム(1933)

ヴィープリの図書館(1935)

夏の家 コエ・タロ(1953)

ヘルシンキ工科大学図書館(1969)

ルイ・カレ邸(1959)
ブレーメンのアパートメントハウス(1962)
ウォスブルグの教区センター(1962)
など…
代表的な家具・プロダクト
アルテック41(1932)
アルテック112(1933)
Gold bell(1937)
Beehive(1950)
テーブルX800(1950)
アルテック402(1933)
アルテック400(1935)
など…
ジャン・プルーヴェ
Jean Prouve

ジャン・プルーヴェとは
○国籍
フランス
○生誕
1901年、フランス、パリ
○死没
1984年、フランス、ナンシー
○概要
ジャン・プルーヴェは、鉄工芸家のエミール・ロベールのアトリエで修行をしたあと独立しました。
ナンシーにて最初のアトリエを構え、1929年に家具製作を開始しました。
同年、マレ・ステヴァン、ル・コルビュジエ、シャルロット・ペリアンと共に、UAM(現代芸術家連盟)を創立しました。
1950年には、マルセイユのユニテダビタシオンの金属製床構造、階段、キッチン及び、モデルルーム用の家具を製作しました。
代表的な建築
ムードンの集合住宅(1952)
国民健康保健所(1952)
ナンシーの自邸(1954)
など…
代表的な家具・プロダクト
スタンダードチェア(1950)
コーヒーテーブル(1940-45)
シテ・アームチェア(1933)
ビジター・アームチェア(1942)
スイング・ジブ・ランプ(1950)
グレート・ウィング・コンパス・デスク(1958)
など…
アルネ・ヤコブセン
Arne Jacobsen

アルネ・ヤコブセンとは
○国籍
デンマーク
○生誕
1902年、デンマーク、コペンハーゲン
○死没
1971年、デンマーク、コペンハーゲン
○概要
ヤコブセンは、デンマーク王立芸術アカデミーで建築を学び、1927年に卒業し、コペンハーゲン市の建築局に就職した。
1929年フレミング・ラッセンと共同で応募した「未来の家」のコンペで優勝しまし、その後有名になり独立しました。
1960年にデンマーク初の高層建築となるSASロイヤルホテルを竣工し、エッグチェアもこのホテルのためにデザインされました。
代表的な建築
テキサコのガソリンスタンド(1937)

SASロイヤルホテル(1960)

オックスフォード大学セント・キャサリン・カレッジ(1964)

未来の家(1929)
スーホルム集合住宅(1950)
など…
代表的な家具・プロダクト
アントチェア(1952)
セブンチェア(1955)
エッグチェア(1958)
スワンチェア(1958)
AJロイヤル(1957)
AJテーブルランプ(1958)
AJフロアーランプ(1958)
series3000(1956)
など…
最後に
いかがでしたか?
これらの7名の建築家は相互に影響しあい、建築のみならずプロダクトやインテリア、都市という領域を横断してデザインに取り組んできました。
彼らのデザインした家具やプロダクトなどは、現在もなお製品として販売され、私たちの生活に貢献され続けています。
ご覧いただきありがとうございました。