2019年の建築のニュースをランキング形式でご紹介します。
風水害・京都アニメーション放火など記憶に新しいニュースなど記憶に新しいニュースも多く含まれていると思います。
2020年東京オリンピックに向けていいニュースや悪いニュースを一挙にまとめてご覧ください。
2019年建築ニュースtop10!

1.台風15号と19号が東日本直撃!
2019年秋、台風15号と19号が相次いで上陸し、東日本を中心に猛威を振るいました。
9月8日から9日にかけて首都圏を通過した15号は、千葉県を中心に建築物やインフラに甚大な被害をもたらしました。市原市では、ゴルフ練習場のネットを支える鉄柱が転倒し、民家16件に直撃しました。
19号は、10月10日から13日にかけて大雨をもたらしました。
記録的大雨により、関東・東北地方の7県の計71河川、140ヶ所で堤防が決壊しました。浸水の面積は18年の西日本豪雨を大幅に上回り、2万5000ヘクタールを超えました。
住宅被害は、全半壊、一部損壊、床上床下浸水を合わせて約9万棟となりました。合わせて、公共施設の被害も多く、建築・都市の水害に対する脆弱さが浮き彫りとなりました。
多摩川流域にある川崎・武蔵小杉では、内水氾濫によってタワーマンションの地下にある電気設備が浸水し、停電と断水で1週間以上機能不全に陥りました。台風19号の被害を受け、国土交通省と経済産業省は「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」を開催し、浸水対策に関するガイドラインを作成する方針を示しました。
2.京アニ放火事件で69人死傷
死者36人、負傷者33人。
2019年7月18日に起きた京都アニメーション第一スタジオ(京都市伏見区)での放火事件です。
放火事件としては、平成以降で最悪の惨事となりました。
放火犯は、1階から3階まで続く螺旋階段付近に揮発性の高いガソリンをまいて火をつけ、当日70人の社員のうち無傷で逃げることができたのはわずか1人でした。
被災した建築物は、鉄筋コンクリート構造の地上3階建て、建築基準法22条の地域、耐火建築物・準耐火建築物とするべき条件に該当せず、スプリンクラーの設置義務もありませんでした。
法を遵守した建物で起きた大惨事であるため、この火災から何を学びどのように改善していくべきか、考えさせられるニュースとなりました。
3.国立競技場が完成
ザハ・ハディド氏の「白紙撤回」から4年が経ち、36ヶ月の長い工期を経て東京オリンピックのメインスタジアムとなる新しい国立競技場が2019年11月30日に完成しました。
整備費は1569億円となり、政府が整備計画で示した上限の1590億円を下回りました。
建物は、国産材をふんだんに使った、約60mのはねだしの大屋根が約6万席の観客席を覆います。すり鉢状の3層のスタンドで、最上階の席でも臨場感溢れる観戦が楽しめるようになっています。
難題となるのが、オリンピック利用後の活用であり、政府は民間事業者などの意見も踏まえ、事業スキームを作成する方針です。
その他主要五輪会場である、有明アリーナや有明体操競技場なども着々と完成しました。
4.レオパレス施工不備問題
2018年4月に発覚したレオパレス21の賃貸アパートを巡る施工不備問題が全棟調査の過程で拡大しました。
当初の小屋裏界壁の未施工問題に加え、新たな不備が次々と発覚し、建築界への信頼を揺るがす事態となりました。
これらの問題を受けて、国土交通省は工事監理制度の強化を打ち出しました。賃貸共同住宅版の工事監理ガイドライン作成や工事監理者のための通報窓口設置などによって再発防止を図る方針としました。
5.沖縄・首里城が炎上
沖縄県の象徴である、世界遺産の首里城が焼失しました。
2019年10月31日、木造3階建ての復元建物である正殿から出火し、周囲の建物に次々と延焼しました。
文化庁は、この火災を受けて、都道府県などに通知を出し、指定文化財だけでなく、史跡などにある復元建物についても防火管理の点検や確認を求めました。
2019年を振り返ると、世界遺産の火災として、4月にフランス・パリのノートルダム大聖堂、11月には岐阜・白川郷の物置き小屋で火災が発生しています。
重要な文化財を守る防火対策のあり方を考える重要なニュースとなりました。
6.五輪後も続く「東京改造」
2019年11月に複合施設「渋谷スクランブルスクエア」が開業しました。
「渋谷PARCO」「渋谷フクラス」も次いでオープンし、渋谷を中心に東京の改造が行われました。
東京メトロ銀座線渋谷駅の新駅舎が共用開始となり、渋谷駅周辺再開発は一つの節目を迎えました。
日本橋・八重洲エリアの開発も本格化し、「八重洲1丁目北」「日本橋室町1丁目」の再開発事業を都市計画決定しました。
森ビルは、東京都港区で進行中の「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の概要を発表しました。総事業費約5800億円をかけ、高さ約330m、日本一のタワーを建てる予定です。
今後も東京都心は大規模開発が目白押しとなっています。
7.中規模木造、建築基準法が後押し
建築の木材利用の動きが活発になり、直交集成材(CLT)や一般流通材を使った中規模施設が竣工されました。
鉄骨造などと組み合わせ、CLTを耐力壁や床、屋根に用いるなど木材の性質を生かした使い方が洗練されています。
これまで、耐火構造にする必要があった場合でも、一定の条件下で準耐火構造で建てられるようになるなど、木材利用の可能性が広がり、「都市木造」に期待がかかります。
8.建設テック導入で生産性向上へ
「建設テック」の導入が本格化し、その効果が出始めました。
鹿島建設が設計・施工を担当する「オービック御堂筋ビル」(大阪市)では、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やロボットなどの最新技術を取り入れ、週休2日をほぼ達成しています。
スターツコーポレーションは、建築・事業計画を自動化するAI(人工知能)システムの導入で提案案件を約4倍に増やしました。
大林組の建設3Dプリンターも話題を呼びました。
オープンイノベーションによる技術革新に注目が集まっています。
9.確認取り消し訴訟
東京都文京区に建つ完成間近の分譲マンションの建築確認取り消しを巡る訴訟で、最高裁判所は2019年8月に建築主のNIPPOと神鋼不動産の上告を退けました。
10.IRの3枠巡り招致レース混戦
IR(カジノを含む統合型リゾート施設)を開業できる3区域を巡って、自治体が活発に動きました。
誘致を表明したのは、横浜市、大阪市・大阪府、和歌山県、長崎県で、千葉市や東京都、名古屋市も前向きとされる中、大阪市・大阪府は他の自治体に先駆け「実施方針案」を公表しました。
最後に
いかがでしたか?
平成から令和に変わった2019年は建設関連で、様々なニュースがありました。
建築界が抱えるべき問題や、東京オリンピックに向けた新たな成長の芽を探る企業の努力や再開発などのワクワクするニュースもたくさんありました。
今後も建築業界は、オリンピックや復興や働き方改革などに向けて、さらに盛り上がって行くでしょう。
ご覧いただきありがとうございました。